自分だけ怒られてばかりで辛い、疲れた……そんな気持ちで働き続けるのはつらいことですよね。
「怒っている人は、煩悩(ぼんのう)の火を燃やしている状態なんですよ」そう教えてくれるのは、僧侶の三浦明利さんです。
今回は「怒られてばかり」という状況を仏教のこころから紐解き解釈するとともに、打破するにはどうしたらよいか、読者の皆さんと一緒に考えたいと思います。
インタビューした編集部メンバーも心が洗われる気持ちになった、三浦さんのやさしい雰囲気から語られる仏教のお話は、きっとあなたの心を軽くしてくれるはずです。
目次
監修者 三浦 明利 三浦 明利 Profile 2008年より浄土真宗本願寺派光明寺(奈良県)の住職に就任。その傍らで2011年にシンガーソングライターとしてデビューし、音楽活動をおこなう。アコースティックギターとピアノによる弾き語りで、仏教のこころを盛り込んだ楽曲を制作。法話と演奏を組み合わせた講演や、僧侶とオンラインで相談ができる「僧侶クリニック」でも活動中。
「怒り」は煩悩の一つ
怒りは、人間が基本的に持つさまざまな感情の中の一つです。
「仕事でミスをした」「約束の時間に遅れてしまった」など、怒られる原因が自分にある場合もあれば、上司から感情まかせに怒られるという場合もあるかもしれません。
「怒り」について三浦さんに伺ったところ、「怒りとは煩悩(ぼんのう)の一つなんです。本当に相手のことを思っているなら、本来は『導く』というような表現を取っていただきたいですね」と、話してくれました。
このとき、「怒りとはなにか」という大前提を解釈しようとしていなかったことに、われわれは初めて気づきました。
※煩悩とは……仏教上の言葉で、人を苦しめ、煩わせる心のこと
怒りを真正面からキャッチしないで
怒られてばかりいると、人間の尊厳自体が傷つけられて、「わたしが悪いのかな」「自分はだめな人間なんだ」というように、悪い方に考えてしまいがちです。
だけど、自分を責める前に「怒りは煩悩である」ということを思い出してください。
真正面から怒りをキャッチしないで、少し離れたところから見るような気持ちが大切です。
三浦さん
まず冷静になりましょう。「人格を全否定されたわけではない」と考えていただきたいです。たとえあなたにミスがあったとしても、指揮されているのはまちがった行為ですから、必要以上に自分の存在全体を責めないでほしいです。
怒っている本人も傷つくもの
三毒の一つでもある「怒り」によって害を受けるのは、相手はもちろんのこと、怒っている人本人です。
怒りに心を占拠されてしまい、苦しみに満ちているのは怒っている本人だからです。
言葉は、人を傷つけることもできるし、言った自分自身にも返ってくるものと言えます。
三浦さん
自分のミスの場合は「解決策がある」ということ
怒られてしまう原因が自分のミスである場合について、三浦さんは「改善することができるものもありますよね」と言ってくれました。
解決策があると思えたら、つぎの行動に繋がります。
自分のミスだと認識したときの対処法をいくつか見ていきましょう。
【自分のミスで怒られてばかりの場合】対処法1.ミスが多いなら、メモや記録をとる
同じミスを繰り返してしまう人は、ミスをそのまま放っておくのがよくありません。
起こしてしまったミスの内容をメモし、振り返る習慣をつけましょう。
チェック表を作って、確認や見直し作業を徹底を意識すると、自ずと繰り返しのミスは減るはずです。
【自分のミスで怒られてばかりの場合】対処法2.約束事を守るための工夫をする
時間を守る、というのは社会人として必須のルールですが、ルールやマナーを守ることが苦手な人もいるでしょう。
そんなときは、工夫をして仕組み化することがおすすめです。
予定の10分前にアラームを設定して早めに動く習慣にする、時計を10分前に設定しておく、交通情報をチェックする、一本前の電車に乗るといった少しの工夫で改善できることもあります。
ちょっとした工夫ですが時間や規則、マナーを守れるようになるための習慣が大切です。
【自分のミスで怒られてばかりの場合】対処法3.報・連・相で信頼関係を築く
挨拶はもちろん、報告、連絡、相談といったコミュニケーションはあらゆる場面で必要です。
積極的なコミュニケーションは苦手という人も、業務の進捗報告やこまめな相談ができると、トラブルが回避できたり仕事が円滑に進むというメリットがあります。
なにより、上司とあなたとのあいだで仕事の進捗だけでなく、どう考えているのか、今後どうするつもりかなどが把握され、信頼関係が築かれることで怒られることもグッと減るはずです。
三浦さん
上司が怒りに任せて怒っている場合は、一旦「はい」と聞いてみる
上司が感情的に怒っていたとしたら、こちらにとっては迷惑な話です。
しかし、一方であなたに伝えたいことがあるから言っているとも言えます。
そんなときは、ひとまずは上司が言っていることを聞いておきましょう。
「はい」と返事を交えながら聞いてみることで、上司も徐々にクールダウンしていくかもしれません。
三浦さん
【上司に原因がある場合】対処法1.一歩離れたところから見る
前述の三浦さんの助言を参考に、一旦は「はい」と返事をしながら聞いてみましょう。
そのとき、ちょっと離れたところに意識を置いて、一歩引いて見ることが大切です。
怒りを真正面から受け取る必要はありません。
一旦は受け取ったうえで、不要なものはごみ箱へ捨てて忘れましょう。
【上司に原因がある場合】対処法2.いざとなれば退職してもいいと割り切ろう
自分の考えや行動は努力次第で変えられますが、上司の行動を変えることは残念ながらできません。
部署異動や転勤など環境を変えるチャンスに乗じたり、それでも変化が無ければ、退職して別の道に進むことを頭に置いておきましょう。
上司の言動に悩むことに時間を費やすよりも、新しいスタートを切る方が前進できます。
三浦さん
ブラック企業への入社も、実はご縁の一つ
仏教では、自分をかたちづくってくれていること全てが「縁」、つまり自分にとって、都合の良いことも悪いことも「縁」を言うのだそうです。
ブラック企業という逆境のような「縁」が何かプラスに働いて、あなたを成長に導いてくれるかもしれません。
一方で、「縁」のことを「出会い」と言いますが、「別れていく」ことや「離れていく」のも「縁」です。
ブラック企業であるのなら、つぎの就職先が決まっていてもいなくても、まずは辞めてしまうのがいいでしょう。
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三浦さん
耐えられなくなったら退職を!退職後の仕事の見つけ方
仕事を続けることで自分が成長できる可能性はありますが、無理をしすぎると心身に悪影響が及びかねません。
仕事はほかにもたくさんありますが、あなたの代わりになる人はいないのです。
うつ病や精神障害などで健康を害して働けなくなる前に、退職を検討し、あわせて他の仕事を探してスムーズに退職することをおすすめします。
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仕事の見つけ方1.転職サービスを利用して転職する
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怒られてばかりと悩む人向けのQ&A
怒られてばかりだと感じる際のよくある質問について、僧侶の三浦さんに答えを伺いました。
Q1.仕事で怒られてばかりの20代におすすめの対処法はありますか?
三浦さん
私たちのような大人でも知らないこと、わからないことがたくさんあるのに、20代でわからないのは当然ですよ。
失敗することは、それだけ新しいことに出会っている証拠とも言えるかもしれません。
だから、失敗して当たり前。
たくさんの刺激を受けながら、ぜひ成長してもらいたいなと思います。
年をいってしまうと怒られる機会が少なくなる、つまり知ることができる機会を失うこともありますよね。
ただの「怒り」であれば放っておいて、それがもし自分にとって気づきや導きになるものであれば、ぜひ自分の人生に取り入れて、どんどん成長して吸収していってほしいと思います。
Q2.怒ってしまう側の人が怒りをコントロールする方法はありますか?
三浦さん
怒りの対象からほんの5分でよいので、一回物理的に離れてしまうんです。
そうすることで心も一旦離れて、怒らずに済むかもしれませんね。
冷静になれると、怒るはずだった部下に、今度は導いてあげるような言葉で伝えられるかもしれないな、と思います。
極限まで精神的に追いやられてしまった人にかけられる言葉はありますか?
三浦さん
怒られてばかりだと、人間の尊厳が傷つけられてしまい、そうなると自分を否定したくなってしまいますよね。
友人や家族など、周りから見て「あなたはとても素晴らしい存在ですよ」ということをぜひ伝えてあげてほしいです。
素直に受け取れない心になってしまっているかもしれませんが、「あなたにはこんなに良いところがたくさんある」と言われた言葉を受け止めてもらい、生きる力に変えていってほしいと願います。
まとめ
- 怒るという心理は自己中心的な「煩悩」の一つ
- 自分のミスに気づけたら、怒られてばかりの状況を「成長のチャンス」と考えよう
- 離れるのも縁。原因が上司や会社にある場合は「退職」「転職」を頭に入れておこう
三浦さん
煩悩の代表的な三毒「貪欲(とんよく)」「瞋恚(しんに)」「愚痴(ぐち)」のうち、「瞋恚」が怒りの感情にあたります。煩悩を動かすのは「自分の思いどおりにしたい」という自己中心的な心で、煩悩は誰でも持っているものなんですね。その怒りは周りを煩わすものであり、一方で怒っている自分自身を苦しめるものでもあります。